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大相撲力士群像 見どころ紹介4

2020年11月27日 07時05分

谷風と小野川、庶民注目の的 錦絵に描かれた江戸の春場所

 大相撲は、わが国で最も親しまれているスポーツ競技といってよいでしょう。年6回ある本場所のチケットは、いつも完売。テレビ中継の視聴率は、野球やサッカーといった他のプロスポーツを圧倒し、多くの人がその取組にくぎ付けになります。勝負は、連日、新聞、テレビなどで大きく報道され、場所後半ともなれば、今場所は誰が優勝するのかという話題で世間は持ちきりとなります。優勝力士となれば、まさに時代のヒーローです。地元では盛大なパレードが開かれ、大勢の市民が祝福します。

 相撲が庶民の娯楽の一つとして定着するのは、江戸時代に入り、幕府公認の勧進相撲が始まってからです。当初は、関西の大坂、京都で活況を呈しますが、江戸時代中ごろには、その中心は江戸に移り、谷風梶之助や小野川喜三郎、雷電為右衛門といった絶大な人気を誇る力士たちの活躍が観衆を大いに沸かせ、相撲はかつてない繁栄を迎えました。また、評判の力士は、当時普及し始めた多色刷り木版画である錦絵の格好の題材となり、全国にその名を轟かせました。

 錦絵草創期に活躍した浮世絵師・勝川春草の「江都勧進大相撲浮絵之図」は、江戸本所回向院で行われた1788(天明8)年の春場所を描いた錦絵。相撲を取っているのは、谷風と小野川です。この翌年、史上初の横綱免許をそろって授与されるライバル2人の取組は江戸庶民の注目の的でした。すし詰め状態で観戦する大勢の観客がその人気を物語ります。本場所のたびに仮設された相撲小屋は、回向院境内の場合、間口18間(約32.7㍍)、奥行き20間(約36.4㍍)の規模で、観覧席は土俵周りの土間とそれを取り囲む桟敷席に分かれていました。大入りになると、3千~4千人の観客で埋め尽くされたといいます。(県立歴史博物館主幹学芸員吉田浩太郎)

 ▽特別展「大相撲力士群像 -相撲の歴史と時代のヒーローたち-」は宇佐市高森の県立歴史博物館で29日まで。観覧料は一般510円、高校生・大学生310円。中学生以下と土曜の高校生の観覧は無料。

大相撲力士群像 見どころ紹介3

2020年11月21日 06時33分

宇佐市出身・御用木の錦絵  数多く、人気ぶり伝わる

 宇佐市は大横綱・双葉山の故郷として有名ですが、双葉山誕生の約100年前、同じ宇佐市出身で、江戸相撲で活躍した力士がいました。その力士の名は御用木雲右衛門(以下、御用木)といい、錦絵に数多く登場することから、当時の人気力士であったことがうかがえます。御用木は身長188センチの巨体を武器に1840年代、天保末期から嘉永初期にかけて花形力士として活躍し、1845年(弘化2)年に関脇に昇進。以後三役を長く務めました。

 明治時代に地元の人が書いた、御用木に関する伝記が残されています。この中に、江戸にて与力(下級役人)衆と口論になり、恨みを買ったことから寝込みを襲われ刀傷を負ったという逸話があります。

 この事件については、江戸時代に書かれた「藤岡屋日記」に事件の概要が詳細に記述されています。それによると、弟子が顔見知りに借金を申し込んだが断られけんかとなり、その恨みから寝込みを襲われ、同居していた御用木も巻き添えを食う形で切り付けられ頭部や顔面などに21針を縫う大けがを負ったというのです。

 御用木は1844(天保15)年10月場所7勝1分けの負け知らずで、翌年には関脇に昇進しています。まさに御用木の全盛期であり、大関が視野に入った時に起きた大事件でした。事件後の46(弘化3)年3月場所は前半の5日間を休み、1勝1敗1預の厳しい成績でした。また、この場所以降も一時の勢いは影を潜め、成績は下降傾向をたどることから、年齢による衰えに加え、事件の傷の後遺症はかなり大きかったのではないかと想像されます。

 出身地である宇佐市乙女地区には、1875(明治8)年に御用木の立派な顕彰碑が建立され、寺には今も墓が残っています。今回、御用木の錦絵も展示されています。熱狂的に支持された江戸相撲の隆盛期に、地元から誕生したヒーローの姿をぜひご覧ください。(宇佐市長峰小校長 岩本輝清)

▽特別展「大相撲力士群像 -相撲の歴史と時代のヒーローたち-」は宇佐市高森の県立歴史博物館で29日まで。観覧料は一般510円、高校生・大学生310円。中学生以下と土曜の高校生の観覧は無料。

 

大相撲力士群像 見どころ紹介2

2020年11月7日 18時56分

2つの神社が受け継ぐ

 相撲は神事であるー。しばしば耳にするこの言葉を象徴するような祭礼が宇佐神宮に伝えられています。宇佐神宮最古の祭礼といわれる放生会です。

 放生会は、通説では720(養老4)年に始まったとされ、本年は創始1300年の節目の年となります。この年、南九州で隼人の反乱が起き、その鎮定に八幡神が軍神として寄与します。そのときに多くの「殺生」が行われたので、八幡神は応報として生きものを放つこと、つまり「放生」を行うことを神託したというのです。

 かつてこの放生会において、相撲が奉納されていました。宇佐(八幡神)と日向(隼人)に分かれ、10番の取組が行われたようです。相撲の奉納は、今は行われていませんが、この祭礼に古くから関与する二つの神社によって受け継がれています。それが神相撲です。

 放生会にかつて2隻の船が出仕し、傀儡子(操り人形)による舞を奉納していました。船を出すのは八幡古表神社(福岡県吉富町)と古要神社(中津市)です。これは八幡神が隼人の反乱を鎮定するときに、傀儡子の舞によって敵を惑わしたという故事にちなむものです。今は両社が船を出すことはありませんが、傀儡子の舞は継承され、それぞれの放生会において披露されています。

 その中に、神名を付けた傀儡子に相撲を取らせる神事があります。これを神相撲と呼び、祭礼の目玉となっています。八幡古表神社では22体、古要神社では30体の傀儡子が東西に分かれて取組を行います。八幡古表神社でいえば、まず個々による勝抜相撲があり、続いて西方の住吉大神に東方の5神が挑む飛掛相撲があり、最後は住吉神社に東方の全ての神が一斉に挑む押合相撲があるといった展開を経て、住吉大神が全てに勝利して圧倒的な強さを見せるといった結末を迎えます。このような傀儡子に相撲を取らせる神事は、他に例を見ない非常に珍しいものです。(県立歴史博物館学芸調査課長村上博秋)

▽特別展「大相撲力士群像 -相撲の歴史と時代のヒーローたち-」は宇佐市高森の県立歴史博物館で29日まで。観覧料は一般510円、高校生・大学生310円。中学生以下と土曜の高校生の観覧は無料。

ギャラリートーク

2020年10月31日 11時54分

日 時:11月12日(木曜日)
時 間:午後1時30分~午後2時30分
会 場:大分県立歴史博物館第1・第2企画展示室
備 考:観覧料が必要

大相撲力士群像 見どころ紹介1

2020年10月31日 11時23分

必死の形相、迫真の表現

 スポーツ競技であるとともに、国技といわれ、日本の伝統文化である相撲。その起源は、神話の時代までさかのぼります。奈良・平安時代には、 宮廷の年中行事として相撲節が催され、力士たちがルールに従って闘う相撲の原型成立。鎌倉時代から安土桃山時代にかけては、武士の鍛錬の一つとして相撲が奨励され、大規模な相撲大会も催されました。室町時代になると職業力士による相撲興行が行われるようになり、江戸時代に幕府公認の勧進相撲が始まると、相撲は歌舞伎や吉原と並ぶ庶民の三大娯楽の一つとして人気を博し、現在に至る大相撲の形が完成しました。

 本展は、いにしえより脈々と続く相撲の歴史を振り返るとともに、時代を彩ったヒーローとしての力士像に焦点を当てるものです。会場では江戸の人気浮世絵師による相撲錦絵をはじめ、現代を代表する力士たちの化粧まわしや太刀、衣装など、多彩な資料を通して相撲文化の醍醐味をご堪能いただけます。

 安本亀八の「相撲生人形」(1890年)は、最古の相撲試合とされる「日本書紀」にある野見宿禰と当麻蹴速の力比べを題材にした作品です。野見宿禰は、出雲国の人で、垂仁天皇の命により、当時最強を誇った当麻蹴速と対戦し、勝利したといいます。これは宿禰が蹴速を投げ飛ばそうとしている場面です。筋骨隆々の肉体に浮き出た血管、目は血走り、歯を食いしばった必死の形相、生々しいまでの迫真の表現が目を引きます。

 生人形は、幕末から明治にかけて見せ物興業に出された細工物の一つで、まるで生きているかのような写実的な表現が世間を驚かせました。作者の安本亀八は、当時各地で興業を行って、人気を博した熊本出身の人形師です。この作品は、明治期にアメリカ人収集家の手に渡り、長年デトロイト美術館のコレクションとなっていましたが、2005年に亀八の郷里・熊本に戻り、現在、熊本市現代美術館が収蔵しています。(県立歴史博物館主幹学芸員吉田浩太郎)

 ▽観覧料は一般510円、高校生・大学生310円。中学生以下と土曜の高校生の観覧は無料。

 

記念講演会

2020年10月31日 11時20分

日 時:令和2年10月31日(土曜日) 午後1時30分~午後3時30分
会 場:大分県立歴史博物館 講堂
演 題:大相撲あれこれ~現役実況アナウンサーが語る相撲トリビア~
講 師:吉田 賢氏(NHK大相撲アナウンサー)
定 員:100名(聴講無料・事前申込が必要)
※10月31日に開催予定の記念講演会「大相撲あれこれ」は、すでに定員に達しましたので、受付を終了しています。

記事紹介

2020年10月16日 12時45分

大分合同新聞 10月16日 掲載

 宇佐市高森の県立歴史博物館で16日、特別展「大相撲力士群像―相撲の歴史と時代のヒーローたち」(大分合同新聞社後援)が始まる。今年1300年の節目を迎えた宇佐神宮の「放生会(ほうじょうえ)」で、過去に執り行われた傀儡(くぐつ)の神相撲に注目。日本書紀の時代から連綿と続く相撲の歴史と文化や、時代を彩った力士を紹介する。11月29日まで。
 相撲の始まりとされる野見宿禰(のみのすくね)」と当麻蹶速(たいまのけはや)の取組を表現した相撲生(いき)人形(高さ約150センチ)など約100点を展示。▽土俵入りや取組の相撲錦絵▽八幡古表神社(福岡県吉富町)に残る傀儡子相撲人形▽大分県内出身の力士らの化粧まわしや太刀―がある。
 相撲の起源は神話の時代にさかのぼり、祭礼行事と関わりがあった。平安時代には相撲節会、室町時代に職業力士の相撲興行があった。江戸時代には、歌舞伎、吉原と並ぶ三大娯楽に発展したとされる。
 同館学芸調査課の吉田浩太郎主幹学芸員(49)は「脈々と受け継がれてきた歴史や、力士の活躍を見て、相撲文化の面白さを感じてほしい」と話した。
 初日はオープニングイベント、式典、展示解説がある。料金は一般510円、高校、大学生310円、中学生以下と土曜日の高校生の入場は無料。月曜休館。問い合わせは同館(☎0978-37-2100)。

令和2年度特別展 大相撲力士群像

2020年10月12日 11時20分

令和2年度特別展 大相撲力士群像 -相撲の歴史と時代のヒーローたち-

 会  場 大分県立歴史博物館 第1・第2企画展示室
 開催期間 10/16(金)〜11/29(日)
 開館時間 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
 休 館 日  毎週月曜日(祝日・振替休日の場合はその直後の平日)
      (11月23日開館、翌24日休館)
 連 絡 先  〒872-0101 大分県宇佐市大字高森字京塚
                   代表 Tel:0978-37-2100 Fax:0978-37-2101
 観 覧 料  一般:個人510円(460円)、団体360円(360円) 
      高・大学生:個人310円(200円)、団体200円(200円) 
      ※(  )内は前売券料金
      ※団体は、20名以上
      ※中学生以下および土曜日の高校生の観覧は無料
      ※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかをお持ちの方とその付添いの方1名は無料

     詳細はここをご覧ください  PDF形式:2.4MB